推しを推す、そして万物に感謝する。

元書店員。日常のオススメやアレコレの話を。

僕らの耳は電磁波対応(発動条件あり)

こんばんは、お疲れさまです。

 

本日は鬼滅の刃最新刊の発売日。19巻。私も鬼滅の刃は好きなので、買って、読んだ。

単行本派ではあるが、あまりの反響にジャンプ本誌の感想はネット上に飛び交っている。どう頑張っても何かしら耳に入る。

ネタバレは作品が世に出ている以上、その速度で最新情報を得ていない自分が悪いので致し方ない。

断片的かつ決定的な情報やあのキャラの行く末など、なんとなく知ってしまうので、単行本を読むときは、私が想像してしまったものの答え合わせをしているような気持ちになる。

それでも展開にドキドキさせてくれるので、作家さんって、編集さんって、本当にすごいよな。次巻を楽しみに待っています。

 

さすがにもう、書店員の皆さんも声掛けを早めにして、どうにか上手く多くのお客様に無駄なく行き渡りますようにと頑張っていらっしゃる。

予約してくださいね、とか、〇日に発売予定ですよ、とか、発売当日の混乱を避けるように準備している。出版社ももちろん発信に余念がない。

私が今日行った本屋では、鬼滅の刃を購入したお客様に「20巻のご予約もされていきますか?」とお声がけをしていた。素晴らしい。店側もお客様側もwin‐win。

必要な、けれど大変な仕事、頭が下がります。

 

アニメが始まって、突然すごい勢いで売れ出して、あの頃の現場は大混乱だった。

私は以前から読んでいたから、突然の反響に「だから皆読んでってずっと言ってたじゃない!!!!!」と連日叫んでいた。もっと早く手に入れておけば、皆こんなに「鬼滅の刃がどこにもない!!」って叫ばずに済んだ。

「じゃあ発注頑張れ」と本屋に瞬発力を求めるのはあまりにも酷というものだ。流通の問題は現場だけではどうすることも出来ない。

世間が盛り上がる頃には、もう出版社も在庫がなかったりする。

 

「なんで売り切れなの!?」と聞かれても、「全部売れたからです」としか答えられない。

 

嬉しい悲鳴という表現があるが、社会現象とも呼ばれるほど大きいことは滅多にないので、ありがたいと言えばありがたいことだった。

 

私たちは問い合わせに追われていた。

「もしもし、在庫の確認をお願いしたいんですけど」

「あ、鬼滅の刃ですか? 申し訳ございません、ただいま全巻品切れです」

 

普段なら丁寧な接客を心がけて、お客様のお言葉をまず最後まで聞くが、あの頃の私たちにはエスパーのような力が備わっていたのかもしれない。

電話口の雰囲気で、鬼滅の刃のお客様なのか、それ以外のお客様なのか、なんとなく判断出来ていたような気がする。

壊れたラジオのように「品切れです」「次回入荷の目処はまだ立っておりません」を繰り返した。

 

決まり字や微かな音で判断して札に手を伸ばすかるた取りのプロのように、私たちは「鬼滅の刃」の「k音」を僅かも聴くことなく、断る準備を口がしていた。

 

あの時私たちは、音よりも速い何かを聴いていた。

 

ちょっと待って、あれ、言い方の問題かな……

もしや書店員ってめっちゃカッコいいんじゃないの。(知ってた)

 

書店員だった時間があるから、今私はその大変さを理解した上でお買い物が出来る。

そう考えると、書店員で良かったな、と思う。

知っている皆さんの苦労を忘れないでいたい。

 

 

 

さて、書店のことを題材にした作品は多い。

私が好きなのは大崎梢さんのシリーズだ。

配達あかずきん 成風堂書店事件メモ(創元推理文庫

著者:大崎梢 出版社:東京創元社

ISBNコード:9784488487010

 

シリーズどこから読んでも面白いと思う。書店員さんだけでなく、営業さんが主人公のシリーズもあるので、ぜひそちらも読んでみてほしい。

 

金曜日の本屋さん(ハルキ文庫)

著者:名取佐和子 出版社:角川春樹事務所

ISBNコード:9784758440295

 

こちらのシリーズは、もう少しふんわりした雰囲気。こちらは実在する本が出てくるので、「次なに読もうかなあ」に効く。何冊か読んでみたい本が見つかるかもしれない。(有名なタイトルが多いので、本読みの方は全て読了済みの可能性あり

 

 

本好き=本屋好き、とは言えないけれど、私はどちらも好き。

本屋を題材にしたものを読むと、やっぱり本屋っていいよなあと思う。

 

オチはなし!!

寒暖差が激しい毎日ですので、皆さんご自愛くださいね!それではまた!