推しを推す、そして万物に感謝する。

元書店員。日常のオススメやアレコレの話を。

第二回にして終了、私の本屋の話。

お疲れ様です。

 

 

本屋関連のアプリに私が勤めていた本屋の名前も連なっていたのですが、気が付いたらそこから社名が消えておりました。

 

そりゃ消えるよな、という話ではあるのですが、なんだか寂しいですね。

 

また一つそっと消えておりました。

 

 

 

人によっては煩わしく思われるかもしれませんが、私にはめんどくさい癖? があります。

 

細かいことが気になる。

分からないことがあれば、ネットや辞書などですぐに調べてしまいます。調べること自体は良いと思うのですが、それでも分からないようだと人に聞きます。

 

 

「これってどうしてですか」

「これってどういう意味ですか」

 

 

め、めんどくせぇ……!!

本屋の後に勤めた2か所の職場は、どちらも専門性の高い用語がたくさん出る現場でした。

 

知らないことだらけなので、もうほとんど聞いてた気がする。

 

めんどくせぇ……!!

 

子供の「ねぇなんで?なんで?」攻撃かよ。

 

めんどくせぇのは分かっているのですが、たぶん理由を知っていた方が仕事を覚えやすかったり、順番を間違えづらくなったりすると思うんだ。

そして仕事ってちゃんと意味のあることしかないはずだと思うから、答えられないことも無いと思うんだ。

もちろん分からないことは分からないと思うんだけれども。

 

 

でも、興味としても知りたい。

 

 

それが面倒たるゆえん。

 

 

「そこは君が知らなくても大丈夫だからぁ!

 仕事するのに支障ないと思うからぁ!」

 

 

って今まで誰にも言われなかったのは、本当に感謝したい。

優しい方たちばかりです。本当にすいません、ありがとうございます。

 

仕事の時間って一日の3分の1を占めているわけで、せっかくだから楽しくその時間を過ごしたい。せめて、辛いだけっていうのは止めていきたい。

知らないことを知るのは楽しい。

 

だから教えて。

 

うん、教えてってなる。

 

本当にすいません、ありがとうございます。

 

 

 

浅くても色々知っていると楽しい気がしませんか。

……などと考えている私にとって書店という職場は、毎日がすごく楽しかった。

 

そのジャンルを担当していなくても、今その界隈では誰が人気で、誰が本を出すほど売れていて、お客さんからのお問い合わせも相まってどんなことが書かれているかも、実際に全てを読んでいるわけでもないのに何となく分かる。

 

それこそ全然興味のない分野のことだって、本当にうっすらで良ければ知ることが出来た。

 

 

なんて楽しい職場だろう。

 

 

今になって、私があの場所でなんであんなに楽しい気持ちになっていたのか、ぽろぽろと原因が見つかって、言語化できてスッキリしてくる。

 

知る、というほどではないから、詳しい人にとっては持っていないに等しいかもしれない知識だけど、それでも私にとっては知識欲を満たしてくれる職場だった。

 

 

 

本屋、最高~~~!!

 

 

 

買い物にいくだけでは感じられない魅力が書店員という仕事にはあるよね。

 

 

 

今の職場で、前職が書店員だった、という話をしたら、気さくな人が私のことを

 

「本屋さーん」

 

とふざけて呼んでくれるようになった。

 

「いや、もう違うんですけどねw」

 

と返すと少し寂しさもあるけれど、ちゃんと「本屋さん」だった私が生きている気がして(本当に『気がする』だけ)、なんだか嬉しかったりする。

 

またある人は「本屋さんだったんですね、オススメの本とか聞いてもいいのかな」などと聞いてくれたりする。最近の新刊には残念ながら疎いけれども、それまでの情報で良ければどれだけでもオススメしたい。作品に新しいも古いもないんですから。

その人は紙媒体派だったらしく、「手に入れたから週末に読むのが楽しみだよ」なんて言ってくれました。

 

幸せだ。

 

幸せだーい。

 

 

 

ちなみにオススメしたのは伊坂幸太郎さんでした。

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死神の精度(文春文庫)

著者:伊坂幸太郎 出版社:文藝春秋

ISBNコード:9784167745011

CDショップに入りびたる。苗字が町や市の名前ばかり。受け答えが微妙にずれていて、素手で他人に触ろうとしない。そんな死神がこの世にはいます。一週間の調査をもって、対象者の死に可否の判断をくだし、翌八日目に死は実行される。死神・千葉が出会う六つの人生。

死神の浮力

ISBNコード:9784167906474

娘を殺された山野辺夫妻は、逮捕されながら無罪判決を受けた犯人の本城への復讐を計画していた。そこへ人間の死の可否を判定する“死神”の千葉がやってきた。千葉は夫妻と共に本城を追う……。

短編ももちろん面白いし、死神たちの生態をより良く知ることができるので、書かれた順番に読むのがいいんだろうな、とは思いつつ、私はやはり読み応えのある長編が好きです。

つまり、順番にどちらも読んでもらえたら面白さ倍増だなってことです。

よろしくお願いいたします。

 

 

本屋さんだった自分のことを「寂しいわい」とか「嬉しいわい」とか口に出して言っていたら、吹っ切れてしまいました。

 

思い出したら悲しくなると思うから、少し思い出話させてくれ……と作った『本屋の話』というカテゴリーですが、もう使われることはないかもしれません(笑)

 

今後も引き続き、本屋さんへの愛は語っていこうと思います。

 

知ってたけどさ、結局単純な生き物なんだよな、自分。

ありがたいね。

 

 

明日は洗面所の掃除をします。

 

 

そろそろ梅雨が明けるようですね、暑い日がやってくると思いますので、皆さまご自愛くださいませ。

 

 

それでは、おやすみなさい。