推しを推す、そして万物に感謝する。

元書店員。日常のオススメやアレコレの話を。

痛い話(苦手な人は読まないでください)

お元気ですか?

地元を離れてずいぶん経ちますが、私は元気です。

 

貴方は今どこで何をされているのでしょう。もうどこにもいらっしゃらないのではないか、とも思っていて、きっとその通りなのだろうと諦めもしています。

昔よくご飯を食べに行きました。

 

お元気ですか? 近所にあったトンカツ屋さん。

 

貴方が突然姿を消して、もう10年以上経ちます。

新型コロナの影響で、小さなお店の経営が大変だと連日ニュースで流れていて、貴方を思い出しました。

大好きだったあの味噌カツ定食を思い出して、日付も変わった時間ですがお腹が空いてしまいました。

正直味はもう覚えていなくて、けれどとても美味しかったことは覚えています。

味噌カツには辛子が合うことを教えてくれたのは貴方でした。定食屋さんのお味噌汁の美味しさも、熱々の味噌でしんなりとした千切りキャベツの歯触りの良さも、貴方が教えてくれたと言っても過言ではありません。

 

ネットで調べると、今もまだ貴方があの場所にいるかのような情報が残っているのです。確かにあそこにはお店があったこと、そして今はもうそこにはないこと、分かってしまうのが切なくなります。

 

当時、別のトンカツ屋さんでアルバイトをしていた兄が、キャベツのついでに自分の指も薄くスライスした、と私にわざわざ傷口を見せてきたときから、私はスライサーの存在が怖くて仕方ありません。そんなことまで思い出してしまいました。

 

お元気ですか、兄。

 

貴方には会おうとすれば会えるでしょう。お互いが会おうとすれば。お元気ですか、兄。なかなか会えませんね、つまりはそういうことですね。お元気ならば、いいのです。顔など見なくても、いいのです。

 

切れ味の悪い包丁で、地道に太かろうと千切りと言い放ちキャベツを切り刻む毎日です。巷では「スライサーを使えば千切りも楽ちん!」と盛り上がっていることもずっと知っています。それでも私は包丁で切り刻んでいます。

 

お元気ですか、兄。

 

ピーラーで皮をむいて、そのまま身の方もひたすらに薄くスライスしていくのは時間がかかるけれど、無心になれるし結構楽しい、などと気が付いてしまいました。ますますスライサーから遠ざかっています。

 

お元気ですか、兄。

お元気ですか、トンカツ屋さん。

お互い健康で過ごしましょうね。

 

少し前までは「好きな場所には足を運んで、サービスの提供を受けることがファンとしての務め」だとそんなことを言っていましたが、外出自粛も強い要請となり、なかなか行動に移すことも難しくなってきました。

お持ち帰りや配達のサービスを始めたところもあります。時間とお金と心に余裕があるならば、どうにかして経済を回す一員になりたいですね。

 

 

 

今日のご飯はどうしようか、このお金を何に使おうか、外食しようか、持ち帰ろうか、お風呂はテレビを見終わってからにしようか、歯磨きはいつしようか、立ち上がるか、座るか、動くか、どうするか。

 

大きいことから小さいことまで、私たちは選択の連続で生きているんだとふと気が付いて、脳みそお疲れ様です、という気持ちです。

(ちなみに「動くかどうか」は私が今現在考えることを拒否したい直近の選択です)

 

毎日毎日、選択、決定の連続です。自らの意思で時間を過ごしています。自分で考えて動けること、どんなに小さい事だとしても、すごいことだと思います。偉い。

 

タイトルに読まないで、と書いた手前、何かをオススメするのもおかしな話で、今回はなんにもオススメしないのかな、などと思っています。

 

 

とりあえず私は「スライサーを買うか買わないか」、この選択に関しては買わない一択のつもりです。

指が絶対切れないスライサーとか、無いかな。あったら買うかもしれん。誰か教えてくれ。千切りも出来たら嬉しいです。

本当はピーラーだって、具材が小さくなってくると指をやってしまいそうで怖いんだ。で、結局最後までは削れないから、小さくなった塊はそのまま口に放り込んで食べてしまうんだよな。つまみ食い最高。

 

とりとめのない話にも程があるね。かたじけない。

 

 

 

楽天で「スライサー」って検索したら、ゴルフの指南書が出てきて、そのスライサーじゃねえんだわ、って一人笑いました。

 

怖くて使えないものがあっても、元気。

笑っていられる日々に感謝です。