推しを推す、そして万物に感謝する。

元書店員。日常のオススメやアレコレの話を。

抱き枕の名前は「次郎」

お疲れ様です。

 

突然ですが、私の愛車には名前があります。

 

あります、などという言い方をしてしまいましたが、何のことはない、私が名前を付けたので名前がある、というだけのことです。

アルバイトを始めたばっかの男の子、という雰囲気です。メガネが似合いそうな、あざと可愛い系男子です。年上に可愛がられやすく、同級生にはいじられやすい、愛されキャラです。ナビもしてくれますが、私との相性がとんでもなく悪いので、目的地からずいぶん離れたところで

 

「目的地に到着しました、案内を終了します」

 

とか言い出す天然の子です。

「到着です」とナビを勝手に止められて、大きな空き地と線路を挟んだ向こう側に目的地の屋根を見つけて、静かに佇む、ということをやったことがあります。彼はとても可愛いです。私の相棒です。

 

 

私の眼鏡には名前があります。

赤い縁の子は「秀吉」と言います。適当に付けました。性別はありません。秀吉は秀吉以外の何物でもないからです。秀吉は無口です。文句も言わず、いつも私の家での視界をクリアにしてくれます。

 

黒い縁の子は「よんどころ」と言います。よんどころない事情で買うことになったからです。ただ実家に眼鏡を忘れて帰ってきてしまったので慌てて買った、というだけのことですが。彼、もしくは彼女にも性別はありません。クールな子です。軽くて、柔らかい素材なので、少しばかりぞんざいに扱ってしまっても文句を言いません。柔軟な子です。秀吉よりも後にウチに来たのですが、秀吉よりも度が強いです。外に出るときに私の視界を助けてくれます。

 

 

 

 

……皆さん、自分の持ち物に名前、つけます?

頭おかしい奴を見る目で私を見ているのではないか??

 

そんな目で見ないでくれ……!

 

私が以前お世話になって今もLINEなどでやりとりをさせていただいている先輩は「私の車は若い女の子だよ」とおっしゃっていました。

分母が2なので何とも言えないけれど、私と先輩、自分の所持品に人格を考える人が100%ということになる(暴論)。

少数派じゃないことを願いたい。

 

私の一台前の中古車は老紳士だった。運転に不慣れな私を優しくエスコートしてくれる、ハットとステッキが似合いそうな、もしかしたらアレは執事だったのかもしれない。教育係とか、なんかそういう類の包容力のお方だった。

 

 

皆さんの持ち物事情が俄然気になってくる。

どう? 名前つけてる? 男の子? 女の子?

 

 

 

でも何でもかんでも名前を付けているわけではなく、そこの線引きは私自身にもよく分からない。一体どんな存在に名前を付けたり付けなかったりするんだろう。

そもそも名前を付けたからといって、呼びかけたりするわけでもない。

何でだろう。何で名前をつけるんだろう。

 

これも一種の感謝のような気がしてきた。

毎日触れるような、いないと生活に支障をきたすような存在を相棒として名前を付けるのかも。車もメガネも、うん、無いと生きることが難しいものだ。生活を支えてくれて、助けてくれてありがとう、という感謝かもしれない。

 

……じゃあスマホは? 今お尻の下にあるソファは?

 

 

 

……なくても生きていけるような気が、しない、でもない、な。

しかし長い付き合いのソファなど、お尻の下に敷いておいて「無くても生きていける」など本人の前で言える言葉ではない。

感謝が足りぬ。名前をつけておかねばならないような気持ちになってくる。そうだ名前をつけよう。

 

そうだなあ。

 

うん。

 

緑色だから、ミドリちゃんにしよう。

 

 

 

 

……感謝が足りないなんて言わないでくれ。

(ネーミングセンスの無さに思わず目を伏せる)

 

そんな目で私を見るんじゃない!!

 

それにほら、緑、いいじゃん、私の好きな色だよ。

ミドリのミ(講談社文庫)

著者:吉川トリコ 出版社:講談社

ISBNコード:9784062936927

重田ミドリ、小学3年生。今一緒に住んでいるのは父の広とその恋人、源三。母親の貴美子とは別居状態だ。夫の突然の心変わりがなかなか受け入れられず、離婚話もなかなか進まない。ミドリも楽しそうに過ごしてはいるが、色々と抱えているものがあってーー。

緑色って中性的な色。熱くも寒くもなさそう。受け皿が広くて、柔和で、私の好きな色。

ミドリちゃんは子供ながら、考えて、考えて、自分の気持ちを言葉にして、形にして、一生懸命自分を取り巻く環境に向き合っていく。

好きな人と一緒に過ごす、ただそれだけのことがなかなか難しいということ、大人だって自分の気持ちを持て余したり、自分自身が何を考えているのか分からなくなったりすることがあること。私が子供の時には考えもしなかったことを、小さい頃から感じたりする機会がある子供は、ミドリちゃんだけじゃないはず。

小さい子たちに恥じない人間になる、というのはどうにも難しいようです。年中お花畑の私の脳みそを見られたら子供たちはため息をつくかもしれない。いや、私のお花畑の話はどうでもいいんだ。

優しくて、でもそれだけじゃない人と人とのつながり、ぜひ読んでみてください。可愛い表紙に惹かれて手を伸ばすのも一興です!

 

 

皆さんの『所持品に人格を持たせる事情』、聞ける機会がないものか。オンラインで語るのも面白いかもしれない、だれか企画しておくれ。

 

楽しみにしています。

 

 

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全力で癒されてください。