舞茸ひとつで世界はきらめく。
新しい職場の人と初めて話すことといえば、自己紹介。
名前は最低限の最低限。
今の職場の人たちはとてもいい人たちばかりで、色々とお話できて楽しい。名前だけ、なんて淡白の極みみたいなことにならなくて、本当にありがたいことです。
一人暮らしだって話をしたら、「1人、ご飯食べるときとかさ、寂しくない?」と聞かれた。
人によっては「放っておいてくれよ」と言ってしまうかもしれないけれど、私は特に嫌な気持ちになることはなくて、答えとしては「寂しくない」だった。
ところで、私はなんで寂しくないんだろうか。
一人は寂しいって聞く。私だってそういう声があることは知っている。じゃあ私は何故寂しくないのか。
単純に興味を持ってしまったので、今更ながら考えることにしてみた。
まず、好きなことが小説や漫画、アニメなど一人で楽しむことが出来るものばかりである、ということが大きい気がする。
毎日出る新刊。毎日放送されるアニメ。無くならない積読本。尽きることのない好きなもの。え、どうしよ、めちゃくちゃ楽しい、寂しさ感じる暇なくない??
でも、それだけじゃない気がする。全部目を酷使するし、肩は年中バキバキに凝ってる。楽しいばかりじゃないはず。
しかし、私はとうとう答えを見つける。
長年の問いに、終止符を打つ時が来たのだ。
先日、晩御飯を作る際に、手を滑らせてうっかり舞茸を落下させてしまった。
傘の一部が壊れて散らばる。
舞茸が床に落ちてる……。
とてもシュール……。
掃除はもちろんするけど、例えば欠片が残っていたら。
遊びに来た友人が「なんか落ちてる」って見つけたら。
私「ん? なんやろ、あ、舞茸やわ」
友人「なんで舞茸wwwwwwwwwwwww」
たぶん爆笑すると思う。私も友人も。あまりにも面白い。舞茸が、舞茸、ごめん、舞茸落としてごめんやけど、舞茸、んふwwwww
……これが答えなんだろうなあ。
妄想・想像が過ぎる。道理で毎日楽しい。これはしょうがないわ。
それもこれも周りの皆さんが優しくて、楽しさを感じられる心の余裕があるからだよなあ、と思います。なんとかちゃんといただいたものをお返しできるような人間になりたいものです。
……そもそも寂しさってなんだろう。寂しいの定義はなんだ。
辞書で調べてみたら、例文に「独り暮らしは寂しい」とあった。うーん。ああ、でもTwitterとか、誰かとコミュニケーション取れるツールのおかげもあるかもしれない。一人の感じ、あんまりしないもんなぁ。ありがたい限りです。
たまには自分のことをじっくり考えてみるのもいいかもしれません。新しい発見があって面白いです。
ということで、オススメを一冊。
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いなくなった私へ(宝島社文庫)
著者:辻堂ゆめ 出版社:宝島社
ISBNコード:9784800251176
人気シンガーソングライターの上条梨乃。ある朝、渋谷のゴミ捨て場で目を覚ました梨乃は、自分が自殺したというニュースを見る。それなら、ここにいる自分は何者なのか?
ミステリと恋愛要素のバランスが絶妙で気持ちいいです。辻堂ゆめさんの文章が読みやすくて、単純にすごく好き……他の作品もぜひ読んでみていただきたいです。
そして是非、皆さんの家の床に舞茸のかけらが落ちてるのを想像して、一緒に笑ってもらえたらと思います。
あれ、笑えませんか? 何かなと思って拾い上げたものが舞茸だったら。
……私だけなのか?