推しを推す、そして万物に感謝する。

元書店員。日常のオススメやアレコレの話を。

隔離世界

お疲れ様です。

 

 

もうすぐ連休が来ますね。

私は怯えています。

 

今まで恵みのように与えられていた連休が、当然のごとく目の前に置かれている。その状況に、怯えています。こんな世界があったなんて。

 

無職の時期がありましたから、長い長いお休みを過ごさせていただいたことはあるのですが、なんというか、仕事をしているのに、連休がある、という事実が、

 

「い……いいのですか……?」

 

みたいな、野生動物が初めて餌を与えてもらった、みたいな戸惑いにも似た感覚が今私の中には駆け巡っているのです。

 

自ら狩りをしなくても……?

休みが……?

ある……?

 

まだ信じていません。そんなはずはない。疑っているうちに恐らく連休は終わってしまうのでしょう、ああ、勿体ない。

皆さんは連休で一体どんなことをされるのでしょう。

 

突然、翼を与えられても、手に入れた目線の高さに恐怖するのは当然のこと。そう簡単に誰もが飛び立てるわけではないのです。私もこの持て余してしまうだろう能力(連休を得られる今の環境のこと)をどうすればいいのか、分からずにいます。

 

 

 

今の職場は、パートナーがいらっしゃる方が多い。

恋人、夫婦という関係をちゃんと営んでいる方からすると、私のようにあまり恋愛に積極的ではない人間の存在はもどかしいようです。もどかしい? いや、気になる、というか? あれはどういう感情なんだろう???

 

珍しい動物を見るような目……?

 

 

「彼氏とか、ほしくない? 一人寂しくない?」

と聞かれたこともあるのですが、以前も申し上げましたように、私は寂しいと思うことが少ない。

誰かいたらいいなあ、と思うこともある。誰かいることによって得られる楽しさや充実感は、代えがたいものだと思うから。

けれど、一人でいることによって得られる楽しさや充実感は同じようにあるんじゃないか、とも思っている。

 

だから、どっちでもいい。たぶん楽しい。

 

どっちの方が、とかじゃない。

 

……と、思っている。

 

 

私にはアニメやドラマを見たり、小説や漫画を読む時間がとても楽しい。

また一人暮らしを始めた時から「これは自分を使った人体実験なんだ」「一体自分はこれから何をするんだろう」とワクワクしながら、ご飯を作ったり、買い物に出たりしてきた。今度はタオルを新しく買い替える予定を立てているのだが、それだけでもう楽しい。

そんな日々の楽しさを思い出しながら、答えた。

「私、一人ですけど、毎日が充実してるので」

 

 

「えっ! そうなんだ! すごい! 何かやってるの??」

 

 

うっ、汚れのない瞳で、そのようなことを……!

そこで私は、価値観の違い、とはまた違ったものを感じる。

 

今まで本屋に勤めていたからか「人が作った作品に没頭することだけを楽しむ」ということに対して肯定的な声ばかり聴いてきた。

周りにいる人たちは大体、同じように誰かの作品に顔が埋まってんじゃないかってくらいのめり込んでいる人たちだった。

 

 

「充実」=「何かに熱中している」=「何かを能動的に行なっている、作り出している」という図式が成り立っている人が、いるのかもしれない。

 

それも充実だと思う。素敵。作り出す人たちは、それ即ち創造の神。ゴッド。崇め奉る対象。

 

充実って別に、物事に対して能動的な人だけに当てはまる言葉じゃないと思っていたので、衝撃だった。誰かの熱量を感じて心を動かすだけでは充実は生まれない……? いや、そんなこともない、はず。

 

 

文化の違い……とも違う、そんな言葉で距離を感じてしまうのは寂しいし、勿体ない。

 

こういう時に便利な言葉は、やはり『セロリ』である。

 

 

育ってきた環境が違うから……。

 

ありがとう、セロリ。

 

夏がダメだったり、セロリが好きだったり、するんだよ。環境が違うから。感じ方は人それぞれ。

 

 

今日はとっても楽しかったね。明日はもーっと楽しくなるよ。

ね、セロリ。

 

 

 

 

 

私は今の職場の人たちの話を聞くのが楽しい。

世界が広がるようです。

 

 

珍しい動物を見るかのごとく私を見るように、私も知らないものを周囲の人に見ている。

楽しい。

やっぱり毎日楽しい、と思っても仕方ない。

まだまだ寂しさを覚えずに暮らしていけそうです。

 

 

ひきこもりシリーズです。

青空の卵 9784488457013

仔羊の巣 9784488457020

動物園の鳥 9784488457037

著者:坂木司 出版社:東京創元社

僕、坂木司には一風変わった友人がいる。自称ひきこもりの鳥井真一だ。複雑な生い立ちから心を閉ざしがちな彼を外の世界に連れ出そうと、僕は日夜頑張っている。料理が趣味の鳥井の食卓で、僕は身近に起こった様々な謎を問いかける……。

著者と同姓同名の主人公、坂木くん。鳥井くんにどうにか外に目を向けてほしくて奔走するのですが、二人のストーリーと謎ときと、どちらも楽しめるし、なんだか癒される、優しい気持ちになれるシリーズです。

 

 

今度の連休、せっかく与えられた休みなのだから、外に出てみるかな、と思うも、雨の予報とコロナもまだ落ち着かない。

また引きこもる理由が出来てしまう……。

 

まだあと2日あるので、何とか素敵な過ごし方を考えようと思います。

(視界の端に、そろそろ一気に読みたいと思っていたんだよな、という積読本の存在を確かめつつ)

 

 

 

それでは!

良い読書の日を!!