推しを推す、そして万物に感謝する。

元書店員。日常のオススメやアレコレの話を。

生ゴミを生み出したいわけじゃない

お疲れ様です。

 

 

冷蔵庫が空に近付くと、お買い物に行きます。

食料の補充です。

 

実家にいるときはご飯に関しては母がやってくれていたし、食料の買い物についていくことはしたけれど、献立を考えたり、何をどれだけ買うか、というのはほとんど考えたことがなかった。

 

 

自分で冷蔵庫を管理するようになって、初めて感じる恐怖。

 

 

中身が空に近付いていく恐怖と、腐らせてしまったらどうしようという恐怖。

 

 

少ししか買い物をしないと、またすぐに買い物に行かなくてはいけなくなるので、それは面倒。でも大量に買うと、食材が元気なうちに使い切ってあげられるだろうかという不安に駆られる。

この面倒もしくは不安が必ず生まれるスパイラルからどうにか抜け出せないか、と考え続けて、未だに答えは出ません。

 

以前、鶏肉を腐らせてしまったことがあったのですが、とてもとても悲しかった。

勿体ない、という気持ちももちろんあった。

でも、申し訳ない、という気持ちも大きかった。

 

私以外の人間に購入されたなら、きっとこの子は美味しく食べてもらえたんだ。

 

そう思うと、私が買ってしまい大変申し訳ございませんでした……と反省しまくることになる。

ごめんな……不甲斐なくてよぅ……

 

 

この気持ちを本屋時代のスタッフさんに話してみたら、その人は言う。

 

「なるほど、くりこさんは食材をちゃんと命としてとらえているんですね」

 

私のふわっとした気持ちの説明を、いつも明確に言語化してくれる人だった。なるほど私ってそうだったのか、と私自身が驚くことがよくあった。

ちなみに随分前に所有物の性別を設定している話をしたときに「私の車は女の子ですよ」と言っていた知り合いがこの方です(笑)。

 

どうしたらいいんだろう。

 

どうしたら私たちは同じ過ちを繰り返さずに済むのだろう。

 

 

鶏肉を腐らせたくない……あの日の反省を胸に、あれ以降は鶏肉を腐らせてはいない。その代わり、というわけではないが、茄子のヘタ部分にカビを生やしたし、ただいま冷蔵庫に入っている卵の期限は10日以上前だ。

(ただし卵はまだナマでも食べられると信じている、というか食べている)

まだ大丈夫だと思って口に入れてみた大根おろしは、私の舌をビリビリと痺れさせた。口に入れた瞬間に

 

「うわ!!! これは生ゴミ!!!」

 

と叫んでしまいそうになると同時に沸き上がる後悔。

 

かと思えば、まだまだ平気なんだね、というくらい長持ちしてくれるものもある。

ありがたいことです。助かります。

 

 

みんな思っているよりもタフで儚い。どっちかにしてくれ、私には彼らの寿命が分からぬ。

 

ちゃんと食べてあげられるなら、期限なんてどうでもいい(暴論)

救済できなかった命から学びを得て、なんとか美味しいものとして己の血肉にしていきたい。

 

 

 

食べ物の描写に、素直に「美味しそう……」と思って腹を鳴らす楽しさよ。

異世界居酒屋「のぶ」宝島社文庫

著者:蝉川夏哉 出版社:宝島社

古都アイテーリアの小さな通りに突然現れた異国風の店──居酒屋「のぶ」。その店はキンキンに冷えた酒“トリアエズナマ”がとんでもなく美味い……!

異世界の人々が和食に触れたらこんな風に感動してくれるのかな、と読んで何故か嬉しくなってしまうシリーズです。私は別に和食料理人じゃないんですけどね、なんでしょうね、この気持ち。初めての居酒屋料理にみんなが「美味い!」と目を輝かせる様に、癒しすら覚えます。

いっぱい食べる君が好き……たんとおあがりよ……。頬張る姿をもっと見たいです。

 

 

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僕とおじさんの朝ごはん(中公文庫)

著者:桂望実 出版社:中央公論新社

ISBNコード:9784122064744

ケータリング業者の水島健一は何事にも無気力な四十四歳。病死に見せかけ楽に死ねる「薬」の都市伝説に翻弄される人々を横目に、手抜き調理で依頼をこなす日々。しかし、生意気な少年・英樹との出会いが健一の料理を変えていく。

すごくシンプルなご飯の風景があるのですが、ああ、朝ごはん食べよう、とただただ静かに思いました。自分にとってご飯を食べるって、どれくらいの意味があるんだろうとか、色々と考えます。

(これもうっかり「大人」と「子供」という関係ではありますが、狙ってではありません)

 

 

 

美味しいご飯が食べたいなぁ。誰かが作った、美味しくてあったかいご飯。

 

自分で作ったものは、博打か?????? ってくらい、美味しい日とそうじゃない日が定まらない。その一期一会感が楽しいので、まぁこれもアリかな、などと思うのですが、向上心がないから上手くもならない、美味くもならない、ぬぅ。

 

もちろん食べ物を粗末にしたいわけじゃない。作ったものは味がいまいちであろうが全て食べ切っている。腐らせたいわけじゃないし、計画性を持って買い物しているつもりなんだけど、「今日はもう何にもしたくないや」っていう日もあるわけで、それを見越して買い物するしかないんだろうか。

 

難しい。

ただ人間らしい生活を営みたいだけなのに。

 

 

それではまた。