推しを推す、そして万物に感謝する。

元書店員。日常のオススメやアレコレの話を。

異世界で出会う安心感 is おばちゃん

書店員のころはシフト制勤務だったので、お昼に出勤することの方が多かった。だから偶にある早番がいつも怖かった。朝ちゃんと起きられないんじゃないか、遅刻するんじゃないか、と怯えて、決まって遅刻する夢を見た。

 

転職して初日。

やっぱり遅刻する夢を見た。この小心者め。

 

道が分からない、たどり着けない、ことごとく一方通行で左折ができない、やめてくれ、なんでこんなにリアルなんだ(笑)

 

人が多く行き交っている。みんな楽しそう。私だけ焦っている。

 

車を近くの駐車場に停めて、地図を片手に街を歩く。道が分からなくて戻ってくる。「勝手に車を停められると困ります」と店員さんに怒られる。

だからリアルなのやめてくれ(笑)

 

気が付いたら職場にいなきゃいけない時間を過ぎている。

電話しなきゃ!スマホと連絡先が書いてある用紙をもって電話するために道の端に寄る。電話に出てくれた人が意味わからんこと言う。「今日の会議の時間は変わりましたから」とか言う。何時に行けばセーフなんだ?? 詳しく教えてくれ……。

 

項垂れて戻ると、カバンがない。

 

ちょっと!!!!

カバンどこいったの!!!!

ぬああん!!

 

声をかけられる。振り返る。

小さいお店のカウンターから、おばちゃんが呼んでいた。

 

「貴重品があるといけないと思ったから、預かってるよ」

 

おばちゃんが手招きしてくれる。

なんと親切な……。

突然の優しさに、私はお礼も言えずにそちらにゆっくりと向かう。

 

しっかりと目が合った時、おばちゃんは目を見開いて、「ああ! この間の!」と言った。

「あの時はごめんねぇ、結局ね、鍵は開けられたの。清掃の人に教えてもらえて、簡単に開いたの!」

 

私はこのおばちゃんを知っていた。

 

以前、夢の中で会った人だ。

 

以前見た、別の世界感の夢に出てきた人だ。あの時は「鍵が無いから貴重品は預かれない」と言っていた。現実の知り合いではない。今回は、ちゃんと鍵がある世界線の貴重品預かりのおばちゃんになれたみたいだった。

違う街に行っても変わらない姿で居てくれる宿屋の親父のような安心感だった。

 

私は遅刻のことも忘れて、「ああ、あの時の!」と笑った。

おばちゃんも嬉しそうに笑ってくれて、カバンと、何故か印鑑を渡してくれた。

 

そこで目が覚めてしまったのだけど、そのおかげか初日の遅刻は免れた。

あれ以上おばちゃんと楽しく話をしていたら、夢から覚めずに仕事へ行けなかったかもしれない。

またおばちゃんに会って、途中で終わってしまった会話の続きをしたいなあと思う。

 

今は顔を思い浮かべることができないけど、会えばきっと「ああ! あの時の!」と笑える気がする。

 

 

異世界で知り合いがいる安心感。

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あまつきZERO-SUMコミックス)全24巻

著者:高山しのぶ 出版社:一迅社

ISBNコード:9784758051354(1巻)

 

もうPOPというよりもファンアートじゃん。

あまつきはいいぞ。それこそ「ああ、あの時の」って何度も経験させてくれる伏線回収。人間、妖怪入り乱れて、大戦争と人情噺。絶対好きなキャラクターが見つかるという自信を何故か私が持っている。

 

未完成サイコロトニクス(ZERO-SUMコミックス)全4巻

ISBNコード:9784758033473(1巻)

 

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世界感が最高だから……。