いつかの今度に期待~お醤油への感謝を添えて~
お疲れ様です。
今日は日曜日で、予定もなくて、だから料理をちゃんとしようかなと思って。
とはいえ、いつもの癖でレシピを見ないで、ふわっと始めてしまったものだから、途中でレシピを見る方向に舵を取れるわけもなく、そのまま何となく進めていった結果、なんだか豚小屋みたいな臭いのするものが完成した。
レシピを見ないだけでこんなことになるなんて。
でも不思議と口にすると、食べられなくない味がして、美味しくはないけど、ちゃんと食べることが出来た。
ドリアンも、臭いは強いけど口に入れると実はそうでもない(ただしクセは強い)、みたいな話を聞いたことがあるし、案外人間の鼻は大げさなのかもしれない。
先日腐った牛乳を臭いで判別できなかった人間ではあるので、説得力は皆無である。
原因は、使ったこともないニラを買ってしまったところから始まっているような気がする。
父がニンニクを好きじゃない人間だったので、実家で臭いの強い食材は使われることが少なかった。
今思えば、ニラも一度も食卓に上がったことはなかった。と、思う。
ニンニクの味にあまり馴染みがない。ニラも、もちろんない。
ネギのようなものだと思って、買ってきたニラを勢いよく全部切ってしまって、その途中で、
あ?????? 匂いが強い生き物だぞ???????????????
と気が付いたものの、もう切ってしまっているからどうしようもない、使わなければ。
時刻は夕暮れ時。
回していた洗濯機が、お仕事終了の音を立てる。
室内に干す予定の洗濯物。
……………濡れた洗濯物に香りは付きやすかろう。
イメージだけれど。
こういうとき、部屋が二つあって良かった、と思う。なんとかキッチンとは接していない部屋に洗濯物を避難させることが出来た。
明日からのお弁当に入れられるサイズにしよう、とか思って、無駄に美味しくないそれを大量に作った。
美味しくない、というのは口に入れて分かることなのだから仕方ないのだけれど、しかし、お仕事を頑張った後に訪れた昼休憩、美味しくないもので、いや、正直に言おう、不味いものでお腹を満たして、私はその後、夜までのお仕事を頑張れるだろうか、いや頑張れない。
そもそも、僅かばかりのやる気だとしたら、マイナス値を計測してしまう。
私が可哀想だ。
現に今、この満たされたお腹の中がすべて美味しくないもので構成されていると思うと、我ながら遺憾の意である。
お弁当に持っていこうか、悩む。
どうせ食べるのだから、食べ切るなら早いうちがいい。
己に躊躇する暇を与えるな、
口に入れてしまえ、
そうすればいつか無くなる。
食べれば無くなる。それは真理である。
例えとても美味しくて、無くなってほしくないものでも、食べれば無くなる。
寂しい。
なんで食べたら無くなってしまうんだろう。
この土日の私は、とても行動的だった。
土曜日は朝早く起きて、運動靴にリュックを背負った格好で歩きに外へ出て、一人でカラオケに行き、お店を出た足で靴屋に行き、仕事用のパンプスを買い、更に歩いてドラッグストアに行き、お店を出て更に歩き、最中には祖母に電話をしてみて、祖父に言われた言葉に彼女が傷ついたという話を聞き、聞いているうちにスーパーに着き、買い物をしながら話の続きを聞き、会計のタイミングで致し方なく電話を切り、そして帰路に着いた。
夜には気になっていた洋食屋さんに行った。歩いて行った。周りがみんな複数人で来店している中、一人で行った。
日曜日も外に出て歩いた。昨日買い忘れたものを買ってきた。昼頃に家を出たから、帰ってくるころには汗をかいていた。
いつも土日に出かける人なら、なんてことない行動だと思うかもしれないけれど、基本引きこもりの私からすれば、これはあまりにもアクティブな土日だった。
二日間連続で家から出ることなんて滅多にない。
本当はこの土日、友人が家に泊まりに来る予定だった。
県外からうちに来てくれる予定だったから、感染症の状況がまたちょっと良くないね、やめようか、また絶対近いうちに、また、ね、絶対ね、と二人で予定の取りやめを決めた。
とても楽しみにしていて、でもお互い厳しくしておかないといけない立場にあって、だから取りやめて良かったと思っている。
私はせっかく色んなことをする予定だった日が怠惰に消えていくのが嫌で、彼女が来たら一緒にしようと思っていたことを一人でやろうと思った。
カラオケに行く予定だった。
一人で行った。一人だから1時間にしておいた。誰かと行くと、お喋りとか楽しくなるけど、本当に真剣にただただ熱唱してきた。
1時間熱唱すると、腹筋が痛くなった。体力もめちゃくちゃ使った。
買い物に行く予定だった。
彼女が買い物をしたい、と言っていたので、私はじゃあ靴でもついでに買おうかなぁ、とぼんやり考えていた。一人でも買うことにした。買った。悪くない買い物だった。実用的だったし、割引券ももらった。
どちらも車で私が連れていこうと思っていたけれど、大学のころを思い出すと、彼女とはよく駅一つ分歩いて、喋って帰った仲だった。
歩いていこう、と誘えば、もしかしたら頷いてくれたかもしれない。
夜には洋食屋さんに連れていく予定だった。
近所にある洋食屋さんで、ずっと気になっていたけれど一人で行くのもなんだかな、と思っていたから、彼女に付き合ってもらうつもりだった。
ご時世か、元々あったサービスかは分からないけれど、テイクアウトが出来るお店だった。ネットで調べて、一人用のおつまみセット的なものを注文して、歩いて取りに行った。
恐らく初めて食べたスペアリブという食べ物。
まさか初めてのスペアリブが、テイクアウトで、自宅で、一人で食べることになるとは思っていなかった。
日曜日も、彼女がお泊りをしていたならお出かけをしていただろうから、と外に出た。
たまたま土曜日に買い忘れたものがあったので、それを買うことにした。運動がてら歩いていった。
充実した2日間だった。
でも彼女には会えなかった。
彼女に会うことだけは出来なかった。
「今日やる予定だったこと、一人で全部やっておいたから」
とLINEで伝えると、いいなぁ、カラオケ行きたかったなぁ、絶対近いうち行こうね、洋食屋さんも、行こうね、とまた新しく未来の約束をしてくれた。
……とここまで寂しそうな顔をしてみたけれど。
一人は一人で楽しかった(笑)
2日間、とてもいい天気だった。
歩いた時に、わざと狭い道を歩いてみたりした。
大きな墓地があった。知らなかった。
お線香の匂いがして、青空がすごく綺麗で、なんだか落ち着くなぁと思って、地図アプリも開かずに適当に方向だけ決めて歩いた。
日曜日起きたら、筋肉痛を起こしていた。
何故か左足だけ痛かった。
まさか右折ばかりしていたとか、反対に左折ばかりしていたとか、そんなことで両足の負担に差が出来たとは考えにくい。原因は分からない。
歩き方が悪いのかもしれない。
でも、身体を動かしたという実感を得られた。
この間、運動しないとなぁと言っていたばかりだったから、いい時間になった。
カラオケも込みで運動時間だった。
この一連の流れ、クセになりそう。
月一くらいで、歩いて1時間だけ歌いに行くかもしれない。
知らない道も歩いたし、祖母の愚痴も聞けたし、新しい洋食屋さんにもテイクアウトだけど行けた。
二人だと違う楽しいことがたくさんあっただろうな、と想像した。
でも、一人だからこその色んなことがあったな、とも思った。
2日引きこもっちゃうのはやっぱり勿体ないよな。
知ってたけど。
最近ずっと週末は雨だったそうだから、仕方なかったといえば仕方なかったけど、単純に身体に悪いから、まぁ、やっぱり出来るだけ外に出ようかなと思う。
- 価格: 660 円
- 楽天で詳細を見る
- 価格: 528 円
- 楽天で詳細を見る
腕貫探偵(実業之日本社文庫)
ISBNコード:9784408550626
様々な場所に突如現れる「市民サーヴィス課臨時出張所」。その簡易机で受付をしているのは年齢不詳の男。マネキン人形のように無表情で、銀縁メガネ、白いシャツ、両腕に黒い腕貫をはめた公務員だった。悩める市民たちは様々な相談を何故かもちかけてしまう……。
『安楽椅子探偵』というのが大好きです。どこかに捜査に行くわけでもなく、椅子に座って、事件の話を聞くだけで謎の真相にたどり着いてしまう、そのスマートさ。たまりません。
このシリーズのおかげで、公務員さんたちが付けているあの腕のカバーの名前が『腕貫』だと知りました。
さらりと読めるミステリです。シリーズも出ているので、合わせて是非。
うん、謎解明は一人じゃなくてもいいけど、一人で出来ることは多い方がいい。
突然誰かとの予定が無くなってしまっても、残念な気持ちを埋める術が多くなる。
生きていく上でも自分で解決できることが多いのは安心だし。
そして、料理も、美味しいものが作れた方がいい。
作れないよりは作れた方が絶対いい。
っていうか作るなら美味しいものを作れた方がいい。
懐に余裕のある生活なら、全部外注にしちゃうという手もあるけれど、私にゃ無理だ。
自分でちゃんとレシピを見て作ればいい。
やればできる子なんだから。
なんでレシピ見ないんだ。
なぁ、なんでレシピを見ないんだ。
ホントに分からない。
なんでナビも見ないんだ。
ああ、美味しいもので腹を満たしたい。
冒頭、今までニラと接してこなかったことを料理失敗の原因としてあげたけど、違うよね、レシピ見ないからだよね、ごめんね、ニラのせいにして、いや、育ってきた環境のせいにして、ごめんね、私のせいだね。
自分だけで気持ち的に処理できず『豚小屋みたいな臭いがする』ということをツイートしたときに、『いいね』してくれたフォロワーさん、ありがとうございました。
励みになりました。
私は元気です。
そして、お醤油のお陰で、醤油味が美味しい何かになりました。
お醤油には、感謝しても、し切れません。