推しを推す、そして万物に感謝する。

元書店員。日常のオススメやアレコレの話を。

鈍行列車で読書に没頭する夢

お疲れ様です。

 

 

職場でご飯を食べるとき、先輩とアクリル板を挟んで向かい合っているのですが、最近、

 

留置所の面会室みたい

 

と笑い合いました。

 

 

どっちが罪を犯したのか

罪を犯したとして、何をしたのか

 

それまでリラックスしてお話をしていたので、捕まっている割に焦りや不安が見られないから、恐らくもう既に刑が決まっていて、受け入れているんじゃないだろうか

 

ということは冤罪ではないな

何かしら、やらかしているな

落ち着いて受け入れられるほどの刑罰、かなりデカいことをやったに違いない

 

などと話を膨らませたりしました。

 

笑い事じゃないと言われれば、まぁ、状況が状況なだけに、そうなんですけど、でもどうすることも出来ないことの中に笑えることを見つけて、誰か一緒に笑ってくださるというのは、本当にありがたいことだなぁと思います。

 

相変わらず周りの人に助けられる毎日です。

 

 

 

 

読書の頻度の話ですが、本をたくさん読んでいると思ってくださる方が多い。

 

読んでいない人に比べると読んでいるけれど、読んでいる人に比べるとそんなに読んでいないんじゃないかな、という立ち位置にいます(それってどこだろう)。

が、今の職場で働き出してから、朝読書の時間が確保できているので、ちょっと頑張って読めている気がしています。

 

ふふん(喜びが滲む笑顔)

 

朝、少し早めに出勤して席について、始業時間までの10~15分が読書時間です。

 

今の職場に私は、仕事のほか、読書運動人との会話の機会を求めに行っている、と言っても過言ではありません。

 

エレベーターがあるんですが、それは使わずに階段を使用して上り下りをするように心がけています。

 

つまりはほぼ全部を職場に頼っている状態。

 

仕事無くなったら私どうなるんだろう。

人間やめるんかな。

 

 

 

さて、そんな中、先日読み終わった本です。

どこでもいいからどこかへ行きたい(幻冬舎文庫

著者:pha 出版社:幻冬舎

ISBNコード:9784344429512

家にいるのが嫌になったら、突発的に旅に出る。カプセルホテル、サウナ、ネットカフェ、泊まる場所はどこでもいい。時間のかかる高速バスと鈍行列車が好きだ。名物は食べない。景色も見ない。

旅行の行き先に目的はなく、どこかへ行くことが好きな、というか、一つ所に留まっていられない作者の、生き方、考え方の本です。

 

この本が発売されたのは昨年の2月頃で、感染症の話題はいつになったら終わるのかなぁ、と皆さんが思っていたころです。

発売のタイミングは偶然だったのか、それとも狙って少し早めたりしたのか。世間の声の代弁かしら、と思って、新刊コーナーに並んでいたこの本を手に取りました。

残念ながら今もその状況は継続、あるいは収束の気配もなかなか見られない状態ですが。

 

一冊を通して、「ここに行ったよ、素敵なところだよ!」という具体的な旅行の話はあまり印象に残らない。

 

読みながら、何度も、「これは私か……? 私の願望か……?」と思うところがあって、それがなんだか良かった。

 

作者のphaさんは、ふらりとどこかに出かける。行き先は、とか具体的なものがなくて、とにかく家にいたくない時が突然やってきて、そうして外へと出ていく。

どこか有名な場所に行くわけでもなく、その場所でしか食べられないものを求めるわけでもなく、チェーン店を見つけて安心感を得る。牛丼を食べる。

 

今この皆が、好き勝手に外出しづらい中で、このオススメもどうかなと思ったのですが、そんな大勢の読者はここには居ないし(いつも読んでくださっている皆さん、本当にありがとうございます)、これは、『ふらりとどこかに行くことの楽しみ』が詰まっているけれど、決して『大勢でワイワイ楽しい旅をすること』には繋がらないから、良いかなと思った。

 

一人でなんとなーく出かけることの楽しさとか、発見とか、そんな頑張って有名な場所に行かなくてもいいんじゃない? といういい具合に力の抜けた旅のススメなのだ。

 

とはいえ、読むと出かけたくなる。

『飯テロ』という言葉があるけれど、これは『旅テロ』って言いたくなる本。

 

私も作者さんと同じで、という言い方をすると烏滸がましいのですが、旅行に行った際にあんまり「○○に行きたい!」という行き先の選択肢が生まれない。

移動時間が好き。のんびり行きたい。皆が目的があって乗り換えたり、急いだりしている中で、「どこまでこの電車で行こうかなぁ」って車内アナウンスを聴いたり、「どの辺りで曲がってみようかなぁ」って車や自転車でまたは歩きで外に出たり、そういうのが好き。

 

有名な観光スポットに行くわけでもなく、どこにでもある街中に降り立って散歩などする作者さん。

 

 

一番好きだったところ。98ページ辺りの内容です。

 

「僕がどこにでもあるような街を見るのが好きな理由は、多分確認して安心したいのだ。どこにも特別な場所なんてないということを。」

 

「旅をすると一瞬だけ日常から解き放たれたという解放感があるけれど、その気分は瞬間的な幻想で長続きはしない。(中略)また日常に戻って、「やっぱりうちが一番落ち着くわー」とか言うしかないのだ。」

 

「ただ、旅で一瞬だけ味わう事ができる非日常のきらめきや、知らない街を歩いている時のワクワク感、旅からそういった気分を持ち帰ることで、また平凡な日常を少しだけやっていくことができる。」

 

前向きなのか、後ろ向きなのか分からない、旅というものに対するスタンス。

 

でも、それがすごくよく分かる。

そういうフワッとした気持ちで、外に出ていきたい。

 

いつも私は

「どこか旅行に行くなら、やっぱり有名どころは行っておくべきかなぁ」

と一か所なんとかして計画にねじ込んでいた。

旅行ってそういうモノだもんなって勝手に強制されていた。

 

でもこの本を読んだら、そんなに積極的に旅行に目的を持たなくてもいいんじゃない? っていう許しを得られた気がして、なんだか心が救われてしまった。

 

目的もなく外に出かけていいし、

その土地ならではの美味しいものを食べなくてもいい。

ちょっといいホテルに泊まらなくてもいいし、

カプセルホテルをその場で探すような行き当たりばったりも最高。

移動時間の楽しさを好きなだけ味わって、

それから色んな所に住んでみたいと思うのも全然悪いことじゃない。

 

やりたい事が溢れてしまいそう。

 

そう、引っ越しに快感を覚えてしまったので、本当は色んな所に住んでみたいの、私。

仕事もあるから動かないけど。

 

 

仕事の更新がされなかったら、どっか行ってみようかなって、虎視眈々と狙っている。

 

 

母は寂しがるだろうけれど、感染症のワクチンが出来て、日常に安心がまた戻ってきて、そしたら私はどこか少しだけ遠くに住んでみたい。

 

 

友人とお出かけするときは、みんなで楽しめる有名な何かがあるところ、美味しい特別なものを食べたり、素敵な場所に泊まったりする。

 

一人の時は、やっぱりカプセルホテルとか、前に利用したホステルとかまた行きたい。

 

作者さんのように野宿とかは考えられないけれど、安全は確保しつつ、一人で動いてみたい。

 

 

早く、みんなが外を制限なく出歩ける日常がやってきますように。