推しを推す、そして万物に感謝する。

元書店員。日常のオススメやアレコレの話を。

本を勧めるという行為についての危険分子

お疲れ様です。

 

 

先日、職場の女性が職場で下ネタを振られて、とても嫌だった、我慢できないレベルだった、と上司に相談していた。

 

セクハラってやつだ。

 

って思って。

 

 

下ネタを振ってきた相手は違う部署の女性だという。

注意してほしい、と上司に相談した彼女は「どっちかが男だったらセクハラですよ」と憤慨した様子で言っていた。

 

私は思わず

 

「性別関係ないですよ、嫌だと思ったなら」

 

と言った。

 

 

ここでいつもの悪いのか良いのか分からない癖が発動する。

 

 

 

 

セクハラの定義とは何ぞ。

 

 

 

 

経営者や、加害者、被害者なら知っておくべきことで、つまり私は無関係だと思ってしまっていたのだけれど、自分だっていつどんな風にその場に居合わせるか分からない。

何に関してもだけど、知っておいた方がいいことは世の中に沢山ある。

 

現に、今回の話で、「それはセクハラですよ」と思わず口にした私は「セクハラ」のことをちゃんと理解していないのである。

 

 

職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント (mhlw.go.jp)

 

厚生労働省のサイトに『ハラスメント』というくくりで、定義がありました。

 

 

ちゃんと下の方には、

 

男性女性関係なく、行為者・被害者になり得るし、異性間だけではなく同性間でも該当するものがある

 

という旨が明記してあります。

 

 

ありがたい。

 

これがあることによって、人によっては「本当にこの行為を『セクハラ』と言ってもいいんだろうか、騒ぐことなんだろうか、声をあげてみたものの間違っていたらどうしよう」とふさぎ込んでしまうようなパターンを減らせると思う。

 

明記されていることってありがたい。

 

職場の方は解決した、一応、たぶん。

 

みんなが楽しく働ける場所だと良いなと思う。

 

 

 

フィクションでは、時代設定が違うと、なかなか言葉が難しいなと思う事がよくある。

今では差別用語だとしても、当時は自然とみんなが使っていた言葉とか、使っていいんだろうか、とか難しいところ。

時代錯誤な難しさはありつつ、私はレトロな言い回しや雰囲気が好き。

御身(ちくま文庫

著者:源氏鶏太 出版社:筑摩書房

ISBNコード:9784480436092

矢沢章子は弟が作った不慮の借金を自分の身体を売った金で返済することを決意する。結婚を考えた恋人はいるが、長谷川という会社社長と愛人契約を結ぶことで何とか借金返済を試みることに。金銭による義務的な取引と割り切っていたはず、しかし長谷川との関係を深めるうちに感情は変化していって……。

 

今、現代において、こういったやり取りが、ある場所にはあるんだろうか、それとも何とか穏便に、というか、どうにか補助などしてもらえるのだろうか。してもらえないのだろうか。

大人の恋愛。契約とか取引とか、そういう「私たちの間に愛など存在しないのだわ」っていう関係から、だんだん好きになっていってしまう切なさややるせなさが、どんどん章子にまとわりついてくる。長谷川社長、貴方はどうなの? って簡単には聞いてしまえない関係で、ハラハラします。

 

独特のセリフの雰囲気、今と違う金銭の価値、生活の形、そういう非日常を読ませてもらえる作品。この、そわそわ、わくわく、という感情を与えてもらえる贅沢。

ぜひ、若い子にこそ感じてほしいかもしれない。18歳以上、じゃなくてもいいのかな、でも大人の恋愛、どうなんだろう、これもまた、時代背景関係なく、ずっと難しい問題です。

これ、面白いよってオススメすることは、セクハラになり得るのだろうか。

 

 

とても怖い、けど、オススメです。

あらすじを何となく伝えて、それでも読むか、と問うて、了承を得てから読んでもらう、そういう丁寧な手順が必要なのかもしれない。

大学生ならあるいは許される、のか?

 

 

勝手に買った本が面白くなかった、不快にさせられた、と間違っても本屋にクレームを入れないように自己責任でお願いいたします。

(以前、いたの、面白くなかったからってカウンターにみえたおじいさんが。)

 

 

皆さま楽しい読書ライフを。