推しを推す、そして万物に感謝する。

元書店員。日常のオススメやアレコレの話を。

文字数以上の世界がここにある。穂村弘のレンズ通して。

お疲れ様です。

 

 

先日、職場の自分の席があるフロアから出ると、窓の前でコーヒーを片手に外を見ている男性社員さんがいらっしゃいました。

 

窓際に肩ひじをつき、これぞ「たそがれる」の基本の形であり、正解の姿なのではないか、というほどキレイな「たそがれる」様子で、私はつられて外を見た。

 

時間帯はお昼を過ぎた頃。

 

 

ものすごい曇ってる。

 

 

勝手に外はいい天気なんだと思っていたので、ちょっと面白かった。

ちょっと寒い日だったので、「いい天気だなぁ」って窓に寄って日向ぼっこしていらっしゃるのかと思っていた。

 

物憂げにするなら雨が似合う。

 

と思う。

ので、後ろ姿しか見えなかったにもかかわらず晴れていると思ったのなら、男性社員さんの背中に寂しさなどは漂っていなかったのでしょう。

 

ついつい話しかけると、

「雨、降りそうだなぁと思って」

とのんびりしたお返事があって、私は、そう、癒された。

 

 

そういえば、天気予報では「晴れ」や「雨」のことを「いい天気」「悪い天気」とは言わないそうです。

良いか悪いかは人によるから、とのことで。確かになと思う。

 

日照りが厳しくて野菜が育たなくて困っていた人にとっては、待ちに待った雨の日になるだろうし、

運動会に出たくなくて夜祈るようにして眠りについて、朝カーテンの隙間から漏れ出た光で起きた子供にとっては、それは望まない晴れの日でしかない。

 

リレー出たくない……嫌だ……って憂鬱になって、「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ………………」って盛大にため息ついて、点けたテレビで

 

「今日はとっても良い天気ですね!」

 

とかお天気お姉さんが素敵な笑顔で言ってたら、世を恨みたくなる。

 

 

気にし過ぎたら何も話せなくなってしまいますが、天気だけに限らず、物事の「良い」「悪い」はその人だけの感情だと思うので、発言には気を付けていきたい。

 

決めつけない、判断しない。

 

この心でやっていきたい。

 

 

言葉が持つ力やイメージって本当に難しくて、怖くて、楽しい。

短歌ください(角川文庫)

著者:穂村弘 出版社:KADOKAWA

ISBNコード:9784041026045

本の情報誌「ダ・ヴィンチ」の読者投稿企画「短歌ください」に寄せられた短歌の中から、穂村弘が傑作を選出し、講評。言葉の持つ可能性の果てしなさに胸が高鳴る読み物としても刺激的な一冊。

怖い作品は良いものだ、という穂村さんの言葉が何度も出てきて印象的でした。良いかどうか技術的な観点から私に分かるはずもなく、でもゾクリとする感覚はあって、何か恐ろしさや生々しいものを想像できる作品なのだと思うと、こういう感じを受けること自体すごいもんな、と思います。

なんせたったの31音しかない。

 

 

 

私が書いているこのブログのことを考えると、2000文字並んでいたって伝わらない時は伝わらないし、なんならこれなら伝わるぞ、という自信のある文章自体少ない。

 

意図して綴らないとレベルアップしない、ですよね、そうですよね。

 

 

タイピングは早くなります。

 

『短歌ください』はこちら1冊目で、まだ続きがあるので順番に読んでいきたいです。私では句を深読みできないので、投稿された短歌と、穂村さんの解説、講評すべてで楽しんでいます。

誰かの言葉を誰かの目を通して読む贅沢さ、有難く読ませていただきます。

 

 

文字数だけなら、無理矢理収められるんだけどな、そこに意味を持たせるとなると、やっぱ凄いなぁ……。