推しを推す、そして万物に感謝する。

元書店員。日常のオススメやアレコレの話を。

楽しい怖い人、求む。

お疲れ様です。

 

 

先日、右折の車に前を譲って入ってもらったら、黒塗りのお車サマでした。

全然なんにも考えないで自然に前をあけたのですが、まさかのスリル。日常のすぐ隣には実はいつだって非日常があるんだな。ドキドキが止まらないぜ。

 

後ろには「いかにも」という絵が描いてあって、運転をしていると般若のお面と目が合う。もし万が一、私が後ろから衝突でもしたら、「おんどれ後ろからぶつかるためにワシに前譲ったんかい、おおん?!」などと怒られてしまうのだろうか、などと想像しながら運転しました。

わざとやるつもりは毛頭ないけど、もしかしたらもしかすると、なんて、思ったりして。

結果無事に帰宅することができました。ああ、良かった。

 

と。

当たり前のように「危ない存在」だと認識して、勝手にドキドキして家まで帰ってきたわけですけど、もしかしたら般若のお面の力強さが好きな方が運転していただけ、という可能性も無きにしも非ずでは?

もしそうなら、変に怯えたりして申し訳ない事をしたな……と思い、ネットではありますが、危ない車ってなんだろうか、と検索してみました。

 

「黒塗りの車」とか「怖い車」とか「危ない車」とか「特徴」とかそんな感じで検索。

何度か言葉を変えて、結果にヤのつく人の車についての記事が出てきました。

サイトを開くと、見出しが視界に飛び込んでくる。

 

 

「資金不足により車の購入が減少」

 

 

……ああ。

そうなんだ。

 

他にも「車は権力の証でもあるため、高級車を好んで選ぶことが多い」とか、いや、どこ情報だよ、と思うものもありましたけど、やっぱり『強さ』を周りに分かるようにするには、見せるためのものが必要だということは何となく分かる。

 

調べれば調べるほど「資金不足により車の購入が減少」という言葉が切なくなる。

 

権力の象徴を、アイデンティティを、泣く泣く諦める気持ちってどんなだろう。

「これこそが私!!」と誰かに見せることによって意味をなすものを、私は持っていないような気がするのだけれど、みんな持っているものなのだろうか。

自分で気に入って使っているものばかりではあるけれど、別にそれを誰かに見てもらいたいと思うわけではない。

 

服、とか?

 

うーん、服も別に。

 

自分を表現するものではあると思うけど、「見て! これが私なの!」という感じでもない。

 

 

もしかしたら、よくニュースで聞く『あおり運転』ってやつをされることが多いから、その対処に般若のお面の絵を後ろにこさえたのかもしれない。

それならアレは表現などではなく、防御策になる。

 

どっちだろ。

 

あの運転手のおじさんが、怖い目にあった末に般若をまとったのではないことを祈ります。

皆幸せになって。

 

 

フィクションで読む怖い人は緩い雰囲気なら好き。

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残り全部バケーション(集英社文庫

著者:伊坂幸太郎 出版社:集英社

ISBNコード:9784087453898

当たり屋、強請りはお手のもの。あくどい仕事で生計を立てる岡田と溝口。ある日、岡田が先輩の溝口に足を洗いたいと打ち明けたところ、条件として“適当な携帯番号の相手と友達になること”を提示される。デタラメな番号で繋がった相手は離婚寸前の男で……。

伊坂さんが書かれる悪いことをする人たちって、悪いことをしている以外はちょっと好きになっちゃうような雰囲気の人が多い気がします。それをギャップっていうのかは分かりませんが、怖い雰囲気が苦手な私でも「映画で見てみたいなー」とか思ってしまう。間が抜けていて憎めない、登場人物の魅力に触れてみていただきたいです。

 

なかよし小鳩組(集英社文庫

著者:荻原浩 出版社:集英社

ISBNコード:9784087475579

倒産寸前の零細代理店・ユニバーサル広告社に舞い込んだ大仕事は「ヤクザ小鳩組のイメージアップ戦略」。担当するハメになった、アル中でバツイチのコピーライター杉山のもとには、別居中の娘まで転がりこんできて……。

ユニバーサル広告社はお金がないのでお仕事を選べない状況にあります。普通だったら、断った方がいいんじゃない……? と遠巻きに見るような案件も泣きべそをかきながら手を伸ばすしかない。フィクションだから笑える話ですが、現実にもありそうで怖い。

お仕事奮闘記と呼ぶには笑いが多すぎる、笑える話と紹介するには泣ける部分が多すぎる。そんな一冊です。

 

広告社の仲間たちも個性豊かで最高に面白いのでぜひ。ちなみに、こちらはシリーズ第二弾なのですが、一作目も三作目もオススメです。

頑張れ、父ちゃん!!!

 

シリーズ一作目

オロロ畑でつかまえて

ISBNコード:9784087473735

笑い多めで、そこまで厚くないので読みやすいかと思います。

ただし下ネタは多め(笑)

 

シリーズ三作目

花のさくら通り

ISBNコード:9784087453577

こちらは厚めで読み応えもあります。一作目と二作目の素敵な部分を分厚くしたような嬉しい一冊です。

 

 

それでは、また。