推しを推す、そして万物に感謝する。

元書店員。日常のオススメやアレコレの話を。

好きの形はそれぞれ。『卵の緒』は読んでほしい。

お疲れ様です。

 

突然ですが皆さん、一番好きなアニメのキャラクターは誰ですか?

それよりもまず一番好きなアニメそのものを問うのが先でしょうか?

 

「一番」があると無いのとでは、物事への熱中度合いが全く違うのではないか、と感じています。その熱量ってすごく力強い。その熱量を持っている、何かに対して持てる、ということってすごく素敵だなあと思います。

長年にわたる「好き」も突発的な「好き」も、とてもいいですよね。キラキラと目を輝かせてウットリと思い浮かべたり、周りなど気にせず身振り手振りを大きくして語る姿、もはや病気か、と思ってしまうような行動を起こさせるような作品、物事、出来事に出会えた経験は何物にも代えがたい。

 

私はその「一番」を決めることがほとんどない。

 

ゆえに、その熱量が、たまに羨ましかったりする。

 

先日の「お前のプレゼント選びにくい問題」にも繋がるのですが、なかなか熱中とまでいくことがない。

もちろん好きなものはたくさんあって、ずっと好きなものもあるけど、何を差し置いてもコレ!!!!!!! というものはあんまり思い浮かばない。全部好き、同じくらい大好き。

友人にゲームをオススメしたりするけど、「誰が一番好きなん?」とか聞かれると、

 

「えっ!! みんな最高だよ!!」

 

とか返事しちゃう。

みんな最高なんだよな……。『みんな違ってみんないい』と金子みすゞ先生も仰っておられます。そういうことなんです。比べられない。

 

だから私にとって、何はともあれコレを紹介してしまいます、という瀬尾まいこさんの著作「卵の緒」みたいな存在は本当に稀有でありがたいものです。

……前もオススメしてた? ええ、そうですけど、えっ、なんでしょうか?

大事なことは何回だって言うものですよ、それこそ伝わるまで、ね。

 

 

「何が一番好き?」っていう会話はよくあるやり取りなので、「一番」が無い人はあらかじめ答えを決めておかないと、会話の流れがスムーズにいかない可能性がある。

 

前の職場で会話するのが面倒な相手に「好きな食べ物なに?」と聞かれて「ええと、美味しいものが好きです」なんてお前バカにしてんのかよ?! と言われそうな返事をしてしまったこともありますが、本心以外の何物でもない。大体の食べ物が美味しくて、好きなんです。イタリアンも中華も和食も好き。

別に会話が面倒だからそういう返事をしたわけではないのです。

お前との会話は面倒だったけどな。

 

食べ物の一番も決めておくべきかもしれない。でも甘いものも好きだし、辛いものはあまり得意ではないかもしれないけど、ううん。

 

あ、オムライス、好き。あと、カルボナーラ

 

 

オムライスにします。今日から私の一番はオムライス。

 

 

……でも以前、外食でオムライスをいただいたら、一気に血糖値が上がったのかぐらぐらになってしまって、疲れてしまったことがあるんだよな……。

 

いやあ、1番って難しいね。(結論)

 

店長が私のこの話を聞いて「一番がたくさんあっていいね」と言ってくれたことがあります。

「一番がない」んじゃなくて、「全部一番」。

 

そう考えたら、自分が今、熱中するほどじゃなくても好きなものを「物凄く好きだ」と言ってもいいんだと思えて、とても安心しました。

 

自分の「好き」の形に対して、自信が持てなかったり、こんなんで好きって言っていいのかなって思っている人もいるかもしれませんが、気にするこたぁない。

SNSとかで熱量が半端ない人たちの姿がたくさん見えてしまうかもしれないけど、気後れするこたぁない。

その「好き」はあなただけのものです。

 

誇ってしまえ。

 

 

 

今日やっと食べ物の一番を決めたような私ですが、実は音楽だけは「これが好き!」という1曲があるんです。

ALRIGHT 秦基博

このCDに収録されている、『僕の今いる夜は』という曲なのですが、ぜひ聞いていただきたいです。秦基博さんと槇原敬之さんの声が真っすぐに優しさを届けてくれます。一枚まるごとどの曲も好きなのですが、一番はこの曲かなと思います。いや、花咲きポプラも好き、いや、やっぱ他の曲も好き。一番は決められんかった。

でも今は、優しいものがとにかく染みる日々だと思うので、聞いてほしい。

 

 

髪の毛がほどよく短い高校生の男の子が、部屋着で勉強机に向かって座っていて、机の上ではラジオが小さい音量で流れている。勉強道具は広げられているだけでほとんど手を付けられてはおらず、男の子はその日学校で皆と一緒に喋って笑いながら、どこか自分だけ遠くにいるような気持ちになっていたことを思い出している。

コツコツとシャープペンシルの先でノートを叩きながら、ラジオをなんとなく聞いて、「ではリクエストを」とか声を聞くたびに、ラジオの向こう側に、今この瞬間同じものを聞いている人たちがいることに気が付く。

そのことにふと安心を覚えて、それがちょっとおかしくて、何が不安だったんだろう、って笑ってしまって、不安がなくなったわけではないんだけど、少し心が軽くなった気がして、窓の外に広がる夜空に視線を上げる。

ほとんどの人が寝てしまっているこの夜の中、同じようにして一人ラジオを聴いている人の存在に想いを馳せてみる。

 

そんなアニメーションを毎回思い浮かべます。(妄想が長い)

ストーリー性のある曲はいい。

 

ぜひ、聞いてみてほしい。

 

 

 

 

あと、『卵の緒』は読んでほしい。