ぼくらは後天性ヒーロー
お世話になっております。
お疲れ様です。
今日は珍しく早起きができて、早い時間にゴミ捨てに行くことができました。
それだけでも「自分、やるじゃん」と褒めちぎって楽しい一日の始まりなのですが、今日はそれだけじゃなかった。
まず、もうそこまで寒くない。
真冬の朝一のゴミ捨てなんて、「布団から出たくない」以外の気持ちが生まれないじゃないですか。寒さも和らいで、でもまだ空気はスッキリとした雰囲気を残していて、いい天気で、寝起きで外を歩くのに丁度よかった。いい季節。最高。
そしてもう一つは、おじいさんの存在。
ゴミ捨て場に向かうと、同じくゴミ捨てに来たおじいさんが向かいから歩いてきた。遠目にも目が合った気がして軽く会釈をすると、
「おはようございます!」
と大きな声で挨拶をしてくださった。大きいと言っても、早朝の近所迷惑になるような声量じゃなくて、『朝から元気で気持ちの良い挨拶』のお手本みたいな挨拶だった。
私も「おはようございます!」と久しぶりにいい声が出た。朝から。寝起きで。
お互いマスクをしていたから定かではないけれど、たぶん二人ともいい表情をしていたのではないか、と思う。そういう声をしていた。
ゴミ捨て場にはネットがかかっていて、少しだけ先に到着したおじいさんが私の為にネットを持ち上げたままにしてくれていた。
お礼を言って、ゴミ袋を置いて、それでは、とそれぞれの家に向かって歩いていく。
やり取りの時間はほんの1,2分だったけれど、今日は良い日だな、と思わせてくれるには十分だった。今日をこのまま「いい日だった!」と終わらせたいから、頑張って一日過ごそう、と思えた。
会釈だけで終わらせていたら、こんな前向きな気持ちでスタートできなかったんじゃないだろうか。
周りの人に働きかけてもらって、嬉しい気持ちにさせてもらって、ようやくこちらも返せる毎日なので、そろそろ自分もそちら側に行けるようにならないとな……とは思っています。
うん、そうなんですよね。
知らない人にパッと声をかけられる、というのは大きなスキルだと思うんですよ。
例えば道端で困っているように見える人がいたときに、「大丈夫ですか?」とか「お困りですか?」とか声をかけられる人ってすごい。タイミングによるけど、もしかしたらその人のヒーローにもなるかもしれない。
そういう行為を偽善だという人もいるけれど、私は悪いことだとは思わない。
偽物の気持ちでだって優しくしてもらえたら助かることがあるだろうし、偽物かどうかなんてその場で分かることも少ないだろうし、良い事をして気持ちいいと思えるならWIN-WINの関係だと思わんか?
優しくして信用させて、その先で悪い事を企んでいれば、それは駄目だと思うけれど。
私は偽善でもいいから、立ち止まっている人の役に立てれば嬉しいと思う。
本当は何も考えることなく、「気が付いたら身体が動いていた」とか「気が付いたら声をかけていた」とかいう綺麗な心の持ち主になれたらいいけど、まあ今更無理だから。せめて、と。
そういう優しい人たちの元に、幸せなことがたくさん降ってくれるといいな、とおこがましくも思います。
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グッバイ・ヒーロー(講談社文庫)
著者:横関大 出版社:講談社
ISBNコード:9784062776554
ピザを届けるのが俺の仕事だ。
それがたとえ、拳銃を持った男が立て籠もっている場所でも。
「困っている人がいたら助ける」をモットーに生きる伊庭亮太。立て籠もり犯がいる現場にピザの配達を頼まれて向かうと、腰の低いおっさんがいた……。亮太の行動力や信念が気持ちいい一冊です。青春も感じる。おっさんと亮太の出会いがどんな話の展開に続くのか、ぜひ読んでいただきたいです。
ちなみに横関大さんの作品はこちらが初めて読んだものでした。まんまと嵌まりました。救いがある話はありがたいです。読んでいて安心する。最後まで読めば、ホッとして助けられた気持ちになります。
ハッ……!
もしや作品自体がヒーローか?
ヒーロー願望があるわけではないですが、根っからのヒーローにはどこか憧れてしまうよな。やっぱり戦隊モノはカッコいいんだ。
なれるだろうか、と己を顧みつつ。
可能性は誰にでもある気がします。